メリット・デメリット
カバー工法のメリットとデメリットを徹底解説
メリット1. 工期が短く、費用を抑えやすい
カバー工法の最大の強みは、既存の屋根材をすべて撤去しない点にあります。
従来の葺き替え工事では、まず既存屋根材を剥がし、廃材を処分し、下地を補修してから新材を敷設する必要があり、それだけで多くの時間と費用が発生します。
しかしカバー工法なら、撤去作業と廃材処分のコストを大幅に削減できるため、全体の工事費用を抑えやすくなります。

さらに、撤去工程が省略できる分、工期も短くなるため、工事期間中のご近所への配慮や生活への影響を最小限に抑えられる点も魅力です。
特に「可能な限り予算を抑えたい」「早く屋根を仕上げたい」というお客様にとって、大きなメリットと言えます。
また、現場での作業効率も上がるため、工数を抑えられることもコスト削減につながります。
メリット2. 住みながら工事ができる安心感
葺き替え工事では、一時的に屋根がむき出しになる期間があり、強風や雨天時には雨漏りリスクが高まります。
それに対してカバー工法では、既存の屋根を残したまま施工を進めるため、常に屋根としての役割を保ったまま工事を行えます。
これにより、雨天時の心配が少なく、ご家族の生活に支障をきたすことなく工事を進められるのが大きな安心材料です。

特に、年代の異なる住居や構造の弱い住宅などでは、屋根を完全に外すリスクを避けたいというお客様も多く、安全性や快適性を維持しつつリフォームできる点は非常に評価される部分です。
また、騒音や飛来物の影響も抑えられるため、近隣への配慮面でも優れた選択肢になります。
メリット3. 耐久性・快適性の向上
既存屋根の上に新たな屋根材を重ねて施工することで、二重構造や多層構造を実現でき、防水性・断熱性・遮音性など本来屋根に求められる機能性が向上する可能性があります。
特に、ガルバリウム鋼板などの軽量金属屋根材を選択すれば、耐久性に優れ、錆びにくく、かつ重さを抑えながらも屋根の機能を強化できます。
このような重ね葺き構造は、屋根材の厚みや空気層を活かして断熱性能を高め、冬の冷え込みや夏の熱の侵入を防ぐ効果も期待できるため、住宅全体の快適性を高める要素にもなり得ます。
さらに、遮音性の向上により雨音や風切り音の影響も軽減でき、日常の暮らしにおける静寂性を向上させることも可能です。

また、将来的なメンテナンス頻度を抑えられる可能性もあります。
適切に施工され、下地補強が正しく行われていれば、屋根材自体の劣化や外力への耐性を高められ、長期的な安心感が得られます。
デメリット1. 下地の劣化が進んでいる場合は適用できない
カバー工法は、既存屋根材を残したうえで新材を重ねる方法であるため、屋根下地(野地板、防水シート、防水層など)が健全であることが前提条件となります。
もし下地が腐食・変形・浮き・劣化している場合、それを放置したまま重ねると、不具合が再発したり、雨水侵入のリスクが残ったりする可能性があります。
そのような場合には、葺き替え(既存材撤去+新設)工事を選ぶべきことがあります。

現地調査で下地を正しく診断し、必要に応じて下地補修または改修を行う工程を経なければ、カバー工法を選択しても効果が不十分なまま終わる恐れがあります。
特に築年数が長い家、長期間メンテナンスがなされていなかった家では、この点が重要な判断基準となります。
デメリット2. 屋根が重くなるリスク
もともと瓦などの重い屋根材を用いた住宅に対して重ね葺きする場合、屋根全体の重量が増加するリスクがあります。
たとえ使用する新材が軽量金属であっても、重ねる分だけ荷重が増えるため、建物の構造や耐震性に影響を及ぼす可能性があります。
特に耐震設計が古い住宅や構造体に余裕のない住宅では、この増加荷重が問題となるケースもあります。

そのため、重さの増分を構造的に許容できるかどうかを事前に確認する必要があります。
構造補強が必要になる場合もあり、それを含むコストを見越しておくことが重要です。
デメリット3. 適用できないケースがある
カバー工法は万能ではなく、屋根形状が複雑な建物や既存屋根に広範囲な雨漏り・劣化が認められる場合には適用できないことがあります。
たとえば、入隅・出隅・谷・軒先など複雑な納まりが多い屋根は、新材を重ねる際に施工性が悪く、収まりが難しいケースがあります。さらに、既存屋根に雨水によるダメージが広範囲にわたる場合、重ねても部分的に雨水が滲み出す箇所が残る可能性があります。

こうしたケースでは、カバー工法ではなく葺き替えや屋根形状の見直し、または複合工法(部分的にカバー、部分的に葺き替え)を適用する判断が必要です。
必ず現地調査と診断を行ったうえで、最適な工法を選定することが成功の鍵となります。
桐山瓦が考える「失敗しない工法選び」
屋根リフォームは通常、一度行うと次回の工事は10年〜20年後を見据える必要があります。
そのため、「とにかく安いから」「早いから」という理由だけで工法を決めてしまうと、後々大きな後悔につながる可能性があります。桐山瓦では、カバー工法と葺き替え工法の両方の技術を持つ職人が在籍しており、建物の現状・構造・予算・将来設計を総合的に踏まえて最適なプランをご提案いたします。
メリットもデメリットも正直にお伝えし、お客様が「納得して選べる」ような判断基準を持っていただくことを最も重視しています。そのため、下地の診断・構造チェックを徹底し、将来的なメンテナンス性や再改修の観点も含めたご提案をいたします。
